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検体検査の仕事内容

検体検査の仕事内容

臨床検査技師が行う検査は、主に血液や尿などを患者の体からサンプルを採取して行う検体検査と、心電図や超音波検査など体の生理的機能を測定する生理機能検査の二つの種類があります。

人の体から出た排泄物や採取された組織の一部(検体)などを、試薬を使って化学的に、あるいは顕微鏡を使って形態的に観察し、その特徴を分析することを検体検査と言います。以下では臨床検査技師が行う検体検査の種類を7つに分けて詳細に説明します。

01微生物学的検査

微生物検査は専門性が高いため熟練者が求められています。

病原菌に感染しているかどうか調べる検査を微生物学的検査と言います。主に以下の3つがあります。

微生物検査は対象が生きているため、培養するのに時間が必要となります。検査の種類によって異なりますが、早い検査でも48時間ぐらい、結核菌などは最長8週間前後かかる場合があります。

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一般細菌検査

一般細菌検査

病巣からとり出した膿や痰や尿、便などの検体を調べ、結核や赤痢などの感染症にかかっていないかどうかを判定する検査です。検体を染色して顕微鏡で観察したり、培地に接種・培養して細菌の種類を調べます。また、その菌にどのような薬剤が有効かも合わせて検査し治療に活用します。

大腸菌O157の検査の具体的な方法

  • 便を培養します。
  • 翌日にコロニーを観察して大腸菌の疑いがあるときは、確認倍地で再度、培養します。
  • 翌日に試薬を使い、大腸菌を同定します。
  • 血清型凝集テストを行い、ふるいをかけます。 病原性の可能性があるときは、もう一度テストをします。
  • O157の可能性がある場合、詳しい血清型テストを行います。
  • O157と同定します。
  • O157と判定しても病原性の有無が分からないため、鞭毛抗原のH7をさらに調べます。

抗酸菌検査

抗酸菌検査

主に喀痰を材料とし、顕微鏡検査や培養検査により結核菌などの抗酸菌を検出する検査です。

呼気検査

胃潰瘍などの原因となるヘリコバクターピロリ菌の有無を検査します。

臨床検査技師の役割1
微生物学的検査では臨床検査技師は高い専門技術と、注意深い観察力が要求されますよ。正しい判定ができるだけでなく、わずかな変化も見逃してはいけません。また、院内感染対策に重要な耐性菌の検出状況等を集計した感染レポートの配信をしたり、病棟のラウンドに同行するなど、感染制御活動のサポートも行います。

02免疫・血清学的検査

免疫血清検査では、様々な装置を使って迅速に検査を行います。

ウイルス感染症などを調べる時に行われる検査が免疫・血清学的検査です。検体に含まれるウイルスは極めて微量で、ウイルスのもつ抗原を直接発見することは難しいため、血清中に現れる抗体を検出し、体内にウイルスが侵入していないか形跡を探る検査です。主に以下のようなものがあります。

感染症検査

感染症検査

  • 肝炎ウイルスマーカー
    ウイルス性肝炎の診断には、肝炎ウイルスマーカーを使用します。これによりA型、B型、C型肝炎等の肝炎関係に感染しているかどうかが分かります。
  • HIV抗体
    エイズウイルス(HIV)が体内に侵入したかどうかを、血液中のHIV抗体の有無により、エイズ(後天性免疫不全症候群)の感染者かどうかを調べます。
  • 梅毒血清反応
    血清中にスピロヘータ・パリダによる抗体の有無を調べます。抗生物質が治療薬として有効であることが判明したため患者数は激減しましたが、現在でも潜在的な感染者は多いと言われています。
  • クラミジア・トラコマチス検査
    クラミジア感染症は若者を中心に増加しています。クラミジア・トラコマチスという病原微生物が原因で、検査は男性の尿道や女性の膣からの分泌物を使って酵素抗体法で抗原を直接検出します。

腫瘍マーカー検査

腫瘍マーカー検査

体に腫瘍ができたときに、血液中や排泄物中に、たんぱく質や酵素、ホルモンなどの増加した特別な物質を腫瘍マーカーと言います。腫瘍の種類や発症部位に特有の物質と、そうでないものがあり、それを検出するのが腫瘍マーカー検査です。腫瘍の発生やその種類、進行度などを判断する材料になります。

アレルギー検査

アレルギー検査

血液中の抗体の量を測定して、アレルギーの可能性を調べる血液検査や、アレルゲンとして疑われるものを皮膚に一定時間貼り付ける皮膚検査などがあります。

自己免疫検査

自己免疫検査

  • リウマチ因子
    体の防御反応として作られた免疫グロブリンに対する自己抗体です。血清中のリウマチ因子の有無を調べることで、慢性関節リウマチの診断に活用します。
  • 抗核抗体
    抗核抗体:抗核抗体とは細胞の核の中にある抗原物質に対する抗体群の総称です。抗核抗体が陽性の場合、膠原病(進行性全身性硬化症、多発性筋炎、シェーグレン症候群)や慢性関節リウマチなどの疾患の可能性があります。
  • 抗ミトコンドリア抗体
    細胞を構成するミトコンドリアを抗原とする抗体で、抗ミトコンドリア抗体が陽性の場合、自己免疫の異常によって肝臓の中に胆汁がうっ滞する疾患である原発性胆汁性肝硬変などの疾患の可能性があります。

その他

  • 免疫電気泳動
  • 免疫複合体
  • 抗核抗体
  • 抗DNA抗体
  • 抗血小板抗体
  • 抗平滑筋抗体
  • 免疫グロブリン定量
  • 栄養指標

臨床検査技師の役割2
抗原抗体反応を利用する場合には、特異的な反応であるかどうかをチェックし、非特異反応が認められた場合には、他の方法による検査を併せて行うなど、検体の情報を有効に活用するようにします。また、臨床検査技師はさまざまな自動分析装置を効率的に利用し、検査精度の向上と検査報告の迅速化を心がけます。

03血液学的検査

血液検査もほとんどが機械化されているので効率重視ですね。

血液学検査とは抗凝固剤で血液を凝固させずに使用し、赤血球数・白血球数・血小板数の測定や血液細胞の形態観察、凝固・線溶関連(血液の固まり易さ) などを調べる検査です。
病気の種類を絞り込むためのスクリーニング検査(ふるい分け検査)によく使われ、血液細胞検査、凝固検査、特殊検査などがあります。

血液細胞検査

血液細胞検査

血液中に含まれる細胞の数を調べたり、白血病細胞などの有無を調べる検査です。白血球の増減は細菌感染症、赤血球数やヘモグロビン量は貧血、好酸球数はアレルギーの診断に使われます。

認定輸血検査技師の資格について知りたい方はこちら認定輸血検査技師

出血・凝固系検査

血液が凝固する機能を調べる検査です。具体的には患者さんの耳たぶに針を刺し、血が止まる時間を計ります。

特殊検査

骨髄穿刺した骨髄を染色したり、白血病の細胞の染色体を調べて遺伝子の異常の有無を調べる検査などがあります。

臨床検査技師の役割3
臨床検査技師は分析装置を使用して正確、迅速に検査することを心がけます。血液疾患の中には治療を急ぐ必要がある場合があります。そのような疾患の可能性がある場合は、医師に緊急報告をすると同時に、次に必要な検査実施を実施し、得られた結果を再び緊急報告します。

04病理学的検査

細胞診検査は特殊な分野です。求人を上手に探しましょう。

病変部の組織の一部を取り出して病名を確定したり、進行度合いや病気の性質を確実に知るために行う検査です。病理組織検査と細胞診検査の2つに大別されます。

病理組織検査

病理組織検査

腫瘍の一部を採取して切り出し→包埋→薄切→染色 の工程で作製した組織標本を、病理医が組織学的に顕微鏡で観察します。良性か悪性だけでなく、特殊な疾患(潰瘍性大腸炎、結核、アミロイドーシスなど)の有無や炎症の原因などを合わせて調べます。検査材料は外科手術で採取するだけでなく、針や鉗子などをつかって得られる小さな組織片でも扱えます。
数値によるデータや画像診断等の間接的検査とは異なり、病変部を直視診断する検査であり、多くの場合は最終的確定診断となります。

臨床検査技師の役割4
病理検査に従事する検査技師の業務は、その染色標本を作ることです。癌や病気の種類を特定するためには、目的にあった染色をする必要があります。また、癌の手術で摘出する範囲を決めるためには、その断端に癌が浸潤していないことが必須となるため、断端組織の診断を迅速に行う必要があります。

細胞診検査

細胞診検査

膣内容物、喀痰、尿などから細胞を採取します。採取した細胞は塗抹→固定→染色の工程を経て細胞診標本を作製します。顕微鏡で個々の細胞を観察し、どのような細胞で構成されているのか、患部の病変は何かを細胞学的に診断して判定します。
主にがん細胞の有無を観察しますが、細胞採取のときに患者に恐れや苦痛を与えず比較的簡単に繰り返して検査を行えるため、悪性病変のスクリーニングや術後の経過観察などで利用され、病理組織検査の補助的な役割もあります。

細胞検査士の資格について知りたい方はこちら細胞検査士の資格

臨床検査技師の役割5
癌細胞を最初に見つけることが検査技師の仕事です。判定は細胞検査士だけが行えます。病変があればすぐに注射針で細胞を穿刺吸引し、検体を迅速に検査・診断する必要があります。
臨床検査技師の役割6
病理組織検査の結果は確定診断となります。そのため、間違いを防ぐために厳重なチェック体制が必要となりますよ。また、細胞診検査は癌の早期発見に有効です。臨床検査技師は報告書に鮮明な画像を添付することができる新システムを利用したり、通信回線を介した遠隔病理診断を使うこともあります。

05寄生虫学的検査

寄生虫検査だけでなく他の検査スキルも一緒に習得しましょう。

体内に寄生虫がいないかどうかを調べる検査です。主に以下の検査があります。

糞便検査

糞便検査

便の中に虫卵を排出する寄生虫は、直接薄層塗抹法や集卵法により、便を顕微鏡で観察し、卵や虫体を検出します。便を肉眼で観察して、寄生虫を発見する場合もあります。ある種類の寄生虫がいると、便のなかに白い片節があったり、ぎょう虫の場合は表面に糸屑のような成虫が付着しているときがあります。

セロハンテープ肛門検査法

セロハンテープ肛門検査法

ぎょう虫は夜中に肛門付近に産卵します。特殊なセロハンテープを肛門に貼って、これで採取した卵を顕微鏡で観察します。

免疫学的検査法

便のなかに寄生虫やその卵が発見できない場合に有効な方法が、血液を調べる免疫学的検査です。血液の感染に対する体内の免疫反応を調べます。

06生化学的検査

臨床検査技師の最も代表的な仕事が生化学検査と言えます。

血液や尿に含まれるビリルビン、尿窒素、尿酸、クレアチン、各種酵素、アンモニア、浸透圧などを調べる検査で、主に血清蛋白検査、肝機能検査、腎機能検査、電解質検査、内分泌検査、腫瘍マーカー検査に分けられます。救急患者や入院患者の急変時、重症患者の経過観察など病態を把握するため、血液検査、免疫・血清検査などと同時に行うことが多いです。いずれも自動分析機によって短時間で検査結果が得られます。

血清蛋白検査

血清蛋白検査

栄養状態、病態を知るためのスクリーニング検査で、血清中の蛋白の内容を分類したものです。肝臓病や腎臓病がわかります。

肝機能検査

肝機能検査

血液を採取して、血液中に含まれる成分を調べ、肝臓の働きや肝臓病を診断する検査のことです。 肝機能検査の代表的な検査項目にGOT、GPTがあります。

腎機能検査

タンパク尿や頻尿など尿や排尿に異常があるときや、浮腫や高血圧など腎臓疾患によると思われる症状があるときに行います。

電解質検査

体液中のイオン濃度を測定し、バランスの崩れを調べて体内の障害を診断します。また、腎障害の疑いがあるときにも実施します。

内分泌検査

分泌機能の状態を知るために、血液や尿中のホルモンやその代謝産物を測定する検査です。分泌されたホルモンそのものの異常のほかに、ホルモンを産生する臓器の異常や、ホルモンの産生を調節する別のホルモンの異常、そのホルモンが標的とする臓器の異常などが分かります。

臨床検査技師の役割7
検体バーコードシステム、検体搬送ラインが構築されていることが多く、生化学的検査のほとんどは自動分析装置によって行われます。そのため、臨床検査技師は分析装置を正確かつ迅速に操作することが求められますよ。また、機器により判明したデータを読む能力が必要になります。

07遺伝学的検査(DNA検査)

遺伝子関連の検査の急増に伴い求人も増えてきています。

遺伝子検査とは人の遺伝子(DNA)を調べて、異常や特性を調べる検査です。DNAの並び方を解析し、通常の並び方との違いを比べることによって、ある病気にかかりやすいかどうかなどが分かります。近年、急増している検査です。
遺伝子検査は、ある特定の遺伝子の塩基配列や発現量を調べますが、遺伝子自体は非常に小さく、しかも極めて少量しか存在しません。そのため、一般的にはPCR法という遺伝子を10~100万倍に増やす方法を用いてから検査します。

感染症遺伝子検査(病原体遺伝子検査)

感染症を起こす微生物の遺伝子を検出する検査です。人に感染し、病気を発症する微生物を病原微生物と言いますが、この病原微生物の種類や量を調べることにより、どのような微生物に感染しているのか、どのような薬が効くのかが分かります。

ヒト遺伝子検査

ヒト遺伝子検査

親から子へ遺伝する遺伝子変化がもとになってひきおこされる遺伝病や、胎児の状態を調べる出生診断、糖尿病や肥満の原因解明などの遺伝学的検査と、遺伝子が関係しているといわれている白血病や癌などを調べる体細胞遺伝子検査があります。
遺伝子検査と言えば、ドラマなどでよく目にする親子鑑定や犯人を特定する個人識別などが有名ですが、親子鑑定などの法医学的検査は一般の医療では行わないため遺伝子関連検査の対象外とされています。

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